自分で散骨できる場所と方法・法律を含む注意点

散骨は違法ではありません。

しかし、死体等遺棄罪(刑法190条)と墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)があり、死体等遺棄罪では、「遺骨」を「遺棄」すると3年以下の懲役刑となると言う法律が有ります。                                      
ただし遺灰を土中に埋めることなく、遺骨も粉末化するなどして供養のために撒き、信仰の自由もありますのでモラルを守った散骨方法であれば、上記の法律にはあたらないと言うことから、法務省は非公式ながら、1998年6月に旧厚生省が諮問した懇談会での見解で散骨は、希望するものが相当の節度をもって行う場合は、処罰の対象としない。今後は社会的な取り決めが設けられる事が望ましい。と言うことが現在国の見解とされています。

そして「節度を持って」というのは、この場合「骨を遺骨とわからないような状態にする」という意味も含まれております。つまり散骨の際には、ご遺骨を細かいパウダー状にしたりして(粉骨の理由にあたっては下段の個人で散骨する場合の注意点で書いてます)一般的に散骨業者が行っているような方法でする必要があるということです。また節度を持って散骨するならば個人での自然葬も特別な許可なく可能と言うこでもあります。

次に墓埋法では「焼骨の埋蔵は、墓地以外区域にはしてはならない」と決まっています。この場合の「埋蔵」とは、土中に埋めることです。つまり、墓地以外の土中に焼骨を埋めたり、土を遺灰の上に掛けたりする行為は墓地埋蔵法違反で千円以下の罰金又は拘留若しくは科料となります。よって、「墓地内の自然葬という方法であれば別ですが、土中に埋める方法での散骨は原則的にできません」
またこれは埋葬に関する法律とは別のものとなりますが、海洋散骨のために人を乗船させて散骨を行う場合は不定期航路の届け出を国土交通省に申請・認可を取得しなければなりません。これは遊漁船の許可などで散骨をされてる業者もありますが違法操業となります。

知っておきたい海洋散骨業者の許可・法律 こちらも是非お読みください。

では自然葬はどこで行うことが望ましい?と散骨方法

自然葬の場所は「陸地より海」が一般的ですし、後々の問題になるようなことも節度を持った方法であれば避けることができます。陸地での散骨では過去に北海道や御殿場市などで周囲の住民の同意を得ることなく、樹木散骨を実施しようとした葬送業者がありましたが、住民運動により町が条例を作り、実施できなくなりました。このように現在では数か所の市町村などでは陸地での自然葬を条例で禁止されてる所があります。

納骨はお墓か納骨堂という風習が強い日本においては、 お骨を撒くことに根強い反感を持っている方も多くおられるのも事実です。 いくら故人の生前においての要望であったにしても、 周囲住民の同意を得ることなくしては、これらを 実現することは困難なのです。 散骨のみならず、近所に墓地が造成されることにも 不快感を抱き、反対する住民の方もいらっしゃいます。 残念ながら縁のある方の『死』は厳粛に受け止めても、 見ず知らずの人の『死』には、関わりたくないというのが 多くの方の持つ通念であることも考えなくてはいけません。

他人の私有地やご自分の家の庭であっても、隣に住んでる方達、土地の所有者からすれば全くの他人なのですから目の前の庭に遺骨を撒かれたら、それは良い気分ではありません。このあたりも節度を持った散骨方法で行なわなければならない。と言う見解に関わってきます。生前をご遺族や周囲住民のかたなどと、 社会の一員として過ごしてきたのですから、故人と なったからと言って、社会的なコンセンサスを得られない 納骨方法を選択すべきではないと
思います。

それでは、散骨の方法は海であればどこでも良い?

「いえ、これらの法律をクリアしたとしても、岸の近くで漁業権が存在する海に散骨すると、漁業権者などから、精神的苦痛を理由とした慰謝料請求や風評被害を理由とした損害賠償請求をされる可能性があります」

結論的に方法は「遺骨とわからないように」「岸からかなり離れ漁業権などが存在しない海域で」海洋葬をすることが望ましいとなります。それでは岸からどれくらい離れたら良いのかは現在、法律では距離などは定められておりません。海洋散骨を行っている業者の方々もこのあたりは、岸から3海里以上や5海里以上など各自で決めたルールで取り決められているだけです。この辺りは共通したガイドラインを設けることが今後私ども業者の課題であると思います。

今後、海洋葬がますます一般的になってくれば、ルールや法律の制定など周知徹底する事も必要になってくるかもしれなません。。「死後どのような形で葬られたいか、家族をどのように送り出したいかという希望は、信教の自由とも関係のある重要な権利です。しかし、全ての権利がそうであるように、他人との調和が常に必要なこともまた真実であります。

個人で自然葬する場合の注意点・法律をまとめると。

遺灰を撒くにあたってご遺骨をパウダー状にしなさいと言う法律はありませんが、海洋葬などできる場所であってもご遺骨をそのまま撒かれると後に散骨した事実を知らない第三者の方が山や海岸で遺骨を発見し警察に通報、事件性があると勘違いされ問題にならないためにも、ご遺骨のパウダー化は推奨いたします。

自然葬ではご遺骨を埋めたり、上に土や落ち葉などかけると埋葬となるため法律で禁止されています。そのような行為はしてはいけません。樹木葬などは墓地としての許可を得ている場所であるため、ご遺骨を埋めその場所に樹木を植えることができるのです。樹木葬などを選択する場合は最初にその場所を管理している寺院や業者の方に墓地としての許可がきちんと得られているかを確認をなされた方が間違いがありません。中には悪質な業者もあり墓地として許可が得られてない所で樹木葬と称してご遺骨を土中に埋めている場合もあるからです。後々トラブルに巻き込まれないためにも気を付けてください。

現在は遺灰を撒くにあたり直接的な法律はありませんが行政の見解では節度を持った自然葬であれば良いとされています。今後、自然葬にあたってモラルを考えない方々が増え問題視されてしまったら、せっかく良い供養方法の一つである散骨と言う行為事態が禁止されることもあるかもしれません。ですからご自分で自然葬をお考えの方はご自身がそこに関わっていない(ご遺族ではない)第三者になった立場からも考えて遺灰を撒かれる場所が不快に思えるか、思えないか考える必要があると思います。その判断はご自身のモラル次第でもあります。

知っておきたい海洋散骨業者の許可・法律 こちらも是非もお読みください。

以上のことから散骨が問題なくできる場所を表にまとめてみましたので参考にしてください。

散骨場所 良否 理由
山(他人の私有地) × 土地の所有者に許可が必要。近くに川や水源がないことも確認する必要がある。
山(国有地) 管理者に許可が必要。
山(自身の所有) 近くに水源がないか確認。
河川 × 水源や漁場として使用されているため。
自身所有の土地(庭を含む) 厳密には近隣の合意が必要。
他人の土地(庭を含む) × 土地所有者の許可と近隣住民の同意が必要
× 水源として使用したり、公共の場所であるため。
山・湖・河川などの観光地や漁場など。 × 風評被害等を理由に訴えられる可能性もあります。
海水浴場 × 風評被害等を理由に訴えられる可能性もあります。
業者が散骨場として許可を得ている場所 当然近隣の同意や周囲に影響のある河川などがないことを配慮されているため。
海(沿岸沿い・漁場) × 風評被害等を理由に訴えられ可能性もあります。
海(沖合で漁場から離れている場所) 観光や海水浴場、漁業など影響がない場所を選定する必要有り。

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